翼を広げるとおよそ180cm、畳の長さと同じです。
頭から尾羽の先までは70cmくらいです。地面に降りていると中型の犬が座っているくらいの大きさがあります。体重は3kgから4kg。季節で変化し、秋から冬がもっと重く、春は軽くなります。
オスとメスの区別は、はっきりしませんが、2羽が並んでいるとメスのほうが大きく見えます。
シマフクロウの頭には、耳のようにみえる羽が生えています。
深い森から響いてくる重低音。その声には自然を敬い畏れさせる力があります。夜行性のシマフクロウが存在をアピールする唯一の方法が啼き声といえるでしょう。
夜の闇から届く声には、オスとメスの違い、大人と子どもの違いなどの情報が含まれています。外敵への脅しや結婚相手を誘い込むときにも声を発します。また、なわばり宣言にも使われます。そして子育ての始まりは、オスとメスの啼き交わしからです。
典型的な声は、「ヴーヴー、ヴォー」と、1羽の鳥が啼いているように聞こえます。最初の二声がオス、後の一声がメス。オスとメスが啼き交わす声なのです。
Fish Owl。ウオミミズクと訳されますが、その名のとおり、魚を主に食べているフクロウです。
北海道の川には、アメマスやヤマメなどの小型から中型のサケ科の魚が多数見られます。また、夏から秋には、カラフトマスやシロザケが海から川に戻ってきます。
しかし、冬には多くの川が凍りつき、魚を捕まえるのが難しくなります。そんな時には、海岸に出て、海の魚を捕まえることもあります。また、森や人家付近でネズミや鳥を捕まえることもあります。
春先には、産卵のために大量に姿を現すエゾアカガエルを食べています。
川の流れをまっすぐにしたり、日陰をつくる岸辺の木々を切ったり、魚が上がれない砂防ダムをつくるなど、川の環境が変わったため、魚が少なくなっています。
主食を奪われたら、シマフクロウは生きていけません。そこで、シマフクロウの暮らせる森の近くに一時的に給餌池を作り、安全に暮らせる環境が整備されるまで餌に困らない状況に置きます。また、安定的に魚が捕れるということは、繁殖率の向上も図る意味もあり、少しでも絶滅から距離を開けることでもあります。
ですが、やたらに給餌池を作れば良いということではなく、あくまでも緊急避難的な措置と考えます。本来、かつて北海道中に生息していた環境に少しでも近づく状態になることが急務です。
フクロウは羽音がしない。これ、もはや常識になりつつありますね。フクロウの羽の特殊な構造は、ネズミに音で感づかれないためのもの。しかし、シマフクロウは飛ぶと音がします。魚をおもに捕まえているので、音がしても獲物に逃げられる心配がないのです。消音装置は、シマフクロウには必要ないものなのです。
江戸時代中期:“しまふくろふ”と命名され、日本産鳥類に加えらた。
明治に入り 1884年:イギリス人学者シーボームによって「Ketupa blakistoni blakistoni」と学名がつけられた。
1900年代前半:日本人による巣などの調査が行われたが発見されていない。
1960年代:北海道在住の永田洋平氏が生態調査を行い、巣をはじめ、食性、テリトリーなどが明らかにされた。
1971年:国の天然記念物に指定される。
1973年~:山本純郎氏がシマフクロウの調査を開始。
1982年:シマフクロウと命名され た個体が函館で捕獲された。
1984年~:環境庁のシマフクロウ保護増殖事業が開始される。
1993年:種の保存法に伴い、国内希少野生動植物に指定される。
〇 フクロウ目、フクロウ科、シマフクロウ属に分類される鳥類
〇 環境省レッドリストで、絶滅危惧IA類に指定※
※ 絶滅危惧IA類:ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。
〇 英名:Fish-owl