出前授業は、浜中町の学校の総合学習で実施しています。
2013年から開始した「シマフクロウ学習」は、シマフクロウを環境のバロメーターに、身近な生きものや人の暮らし、産業とのすべての繋がりに気づき、身近な環境保全の大切さを実感することがテーマです。この学習を通じ、子どもから大人にも身近な環境を見直す機会となりました。シマフクロウなど希少生物にとって暮らしやすい環境が人の暮らしの将来も豊かにすること、そうした保全管理のやり方にシフトしていくことも目標として取組み、一定の成果が得られました。
2019年4月からは、「シマフクロウも人も喜ぶ地域づくり学習」を、認定NPO法人アサザ基金と協働で開始しました。ESD(持続可能な発展のための教育)に長年取組んで来られたアサザ基金代表飯島博さんを講師に持続可能な地域づくりの担い手育成に取組んでいきます。
この学習は、生徒たちがシマフクロウをバロメーターに身近な生きものや環境から地域特性を学び直し、地域の森から海までの大きな繋がりの大切さを学び、同時にそれらが人の営みや産業を支える基盤であることを理解することを目指しています。
学習を通して、生徒たち一人一人が町の特色を理解し、地域で生きる価値や意味を自ら見出し、地域で豊かに生きる力を身につけ、地場産業の育成や活性化を通して、環境保全や持続可能な地域づくりを実現する担い手となることを目指しています。
大切なことは3つ。
体のつくり、すみか、くらし。
自然はありがとうでつながっている!
ちきゅうは たから?
だと思う
シマフクロウの「体のつくり」「くらし」「すみか」の関係を一緒に考えてみよう。
学校周辺の林に行って、身近な生きものがどこから来たのか考えてみよう。(体のつくり、くらし、すみか)
地域の生きものの道はどうなっているのか、どこまで繋がっているんだろう?
すっごい早い虫はっけん! なんだろー!? ケロちゃんの卵、気持ちいいー
シマフクロウの目になって地域の森や川などの環境を実際に見て再評価してみよう。
森の問題について考えてみよう。
なんだか きもちいいー! いい所だなぁ。 落葉ってふかふか!
発見したことをイメージマップに加えよう。
ありがとうのつながりが増えてきたね。
1つからなんこもつながってきた。もっともっとイメージマップは大きくなりそう。
昔はあって今はないありがとうのつながりを教えてもらおう。無くなった理由を考えてみよう。 新たにわかったことをイメージマップに書き加えてみよう。
森・川・海を結ぶ生きもの道、意外なもの同士のつながりが見えてきた…。物質循環の大切さを知る。
シマフクロウを支える大きな繋がりに支えられていることに気づく。
昔はね。木がないとごはんもおふろに入ったりもできなかったんだ。
えーーっ!
海から川をつたい遡上してきたサケやカラフトマス、森の中を流れる川までやってきた!海と森のつながりの重要性を実感する。
カラフトマスなど魚類をささえるありがとうの繋がりを考えよう。海の豊かさが森に、森の栄養が川~海へ、魚の観察を通して感じ取ろう。
シマフクロウをバロメーターに今まで訪れた環境を評価してみよう。
シマフクロウを支える海から森までの大きな繋がりの中に、自分たちの暮しも含まれていることに気づく。
ありがとうの繋がりを増やすにはどのような取組みが必要か、
すごいなぁ、おっきぃ。サケ初めて見たー!
海と森がつながっていたとは、びっくり!!
「シマフクロウをささえる大きなつながり」を増やすため、形にして地域の人に見えるようにするにはどうしたらいいだろう?
ありがとうの繋がりを町全体に広げるベースとなる基本構造(水系)があることを理解する。地域が持つ潜在的可能性に目を向けて、問題解決型から価値創造型へ発想転換しよう!
地域にあるものや産業や人や組織を、シマフクロウのありがとうの繋がりの中で掘り起こし捉え直してみよう。
わーっ!川ってこんなに沢山あったんだ!! 町って大きいね。
本当に良いもの(ありがとうのつながり)を増やす具体的な物や方法を考え伝えよう。
学びを通して自分で気づいた地域の価値や特色を、自分の方法で伝えよう。
みんなの提案を地域の大人の人たちに発表し意見交換しよう。
ありがとうの繋がりを増やす落葉広葉樹の植樹を川沿いに植えよう。
関心を持っていただいた企画・提案は、実現に向け授業終了後もフォローしていきます。
地域に根ざした探求的な学習をとおして地元の良さや特色に気づき、それらを新たな文脈(シマフクロウという広い視野)で結び付け関係付けます。地域のモノやコトに新たな価値(付加価値)を生み出す方法を学んだことで、生徒たちが地域の特性や良さをよく理解し、それらを積極的に活かし自らの生き方(将来像・キャリア)を浜中町の未来の中に描けるように育成します。
地域全体を視野に入れ、問題や課題を大きな文脈の中で構造的に捉え直し、さまざまな要素と関連づけ、科学的かつ論理的に思考を組み立てることができる人、地域資源を活かした持続可能な地域づくりの担い手を育てます。